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よっし、また今日からスタートだ。
周囲がまだ薄暗い早朝の5時半頃。
玄関を飛び出し、自宅周辺を30分ほど歩く。

健康維持のために三年前に始めた朝のウォーキング。

ずっと続けていたが、ここ数ヶ月は歩いていない。

中断理由は“寒い暗闇を歩くのは危険で心臓にも良くない”との

周囲からの忠告。一応、それを大義名分にしていたのだが、

寒いので布団から出たくない、という意志の弱さが本当の理由。

しかし、春が来て大義が崩れ去り、ウォーキングを再開した。

自宅を出て、月明かりの中を歩いていると、夜が明け始める。

雲が赤く染まり、淡い光が空を照らし始め、広がっていく。


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いよいよ、本格的な春が到来した。

道端のあちこちで、草花が芽吹き、可憐な花を咲かせる。 

菜の花の黄色い絨毯が河川敷を埋めつくし

咲き誇った桜の花とのコントラストが眩しい。

また、街角の日常生活の中にも、春の風景がある。

大きなランドセル、真新しい制服やスーツ姿。

多くの一年生が、新しい一歩を踏み出すシーズンでもある。


そんな春の一日。神妙な思いで、ハンドルを握り40分程。

北九州市内にあるファストフード店に車を止めた。

そこは、昨年12月に塾帰りの女子中学生が刺殺された現場。

幹線道路沿いにあるこの店舗。何度も通り過ぎていたが、

一度、ゆっくりと立ち寄り、手を合わせたいと思っていた。

事件当時はワイドショーなど、注目を集めた現場周辺だが、

現在は、何もなかったかのような静かな佇まいだ。

店内に入り、珈琲を飲みながら窓の外に目を移すと、

直ぐ近くを、都市モノレールが走り過ぎていった。

被害に遭った少女は中学三年生。事件がなければ高校生として、

新しい制服に身を包み、モノレールで通学をしていたのかも……。

その無念さ。そして、ご家族の心中を察するに余りある。

若い命を奪い去った許されない事件。心からご冥福を祈りたい。


喜びと悲しみ。希望と落胆。

いろんな方が、様々な思いで迎えたであろう新年度。

私自身は、これまでと同様に公民科講師として、

高校の教壇に立たせていただけることとなった。

再び、有り難いご縁をいただいたことに深く感謝。

早朝のウォーキングの後、急いで朝食を済ませて

学校へと向かう、という慌ただしい生活が続く。

生徒と向き合うことへの喜びと責任。

学校に通えること、生きていることの喜びや大切さ。

そんなことを感じてもらえる授業ができれば……。


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# by inakasanjin | 2025-04-15 10:00 | Comments(0)

これは凄い、ビックリした。
ブログ管理者のアクセスリポートによれば、先月中旬、
本ブログへのアクセス(訪問者数)の通算が1万回を越えた。
とはいっても、私がブログを受け継いだのは昨年の12月。
そのとき既に九千回を越えていたので、私の功績はほんの少し。
当然、この所業の主人公は天国に住む、田舎散人こと光畑浩治氏。
散人は書くことを日課とし、5年前の3月に本ブログをスタート。
以降、毎週金曜日に、思いを込めた一篇を投稿し続けてきた。
現在も、過去の散人の投稿を読むためのアクセスが頻繁にあり、
本ブログ上において、我が師・田舎散人は、まだ生き続けている。

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“ふるさとをこよなく愛し、
   郷土のことを書き記すことが大好きな人でした”
満中陰志(四十九日法要)後の返礼品にそんな文が添えられていた。
散人は、この通りの人物で、市役所や地域活性化をめざす活動で、
愛する故郷のために懸命に走り続け、多くの汗をかいてきた
また、純粋に書くことを生きがいとし、さらりと雑感を綴る。
透き通った心を武器に人や社会を観察し、様々な情報を発信してきた。
そんな散人は、本ブログ初回の挨拶文で次のように記している。
『書き続けて“いかに物事をしらなかったか”という思いが増しました。
だから“今、学び直しをしている”という気持ちが強くあります。
学びは空気みたいなものかもしれない。一篇一篇、一つひとつ、
納得する日々でもあります。ここに花乱社HPに『田舎散人のつぶやき』
を開設させていただき、感謝この上ありません。どうか、皆さまと共に
学びなおし、ができればと願っています』

数年前、ラジオのトーク番組である女性作家が『若い頃は、
歳をとれば知ることが増えると思っていた。しかし実際は逆で、
歳を重ね、書けば書くほどに知らないことが増えていき、何も
知らないと痛感する。それは単に物理的な知識だけではなく、 
人の気持ちとか…、人間としてとか…』等と言っていた。
田舎散人もそんな思いで書き続け、学び直していたのだろうか。
未熟でその域に達していない私だが、散人の思いが分かる気がする。
確かに書いていると発見があり、知らなかった知識と出会うことが多い。
若い頃には気づけなかった視点で、事象を捉え直す機会も増えてきた。 

同じ光景や現象に出会っても、人それぞれに見方や感じ方が違う。
また、その時の環境や心境、人生経験によって捉え方が変化する。
書くということは、目の前に広がる光景や現象、喜びや感動を
自身のフレームに取り入れ、自分なりの感性で表現していくこと。
見つめるフレームを広げたり、時にはズームアップしたり、
自分の立ち位置や角度が変われば、感覚も変化してくる。
書けないことに苛立ったり、悩んだり。己の至らなさを反省し、
自分もこうありたいと願いながら書いていくこともある。

それにしても、自分が書いたつぶやきが、誰かの心に届くという喜び。
自己満足ではあるが、ブログを担当させてもらっている者にとって、
こんなに嬉しいことはない。時々、「つぶやき、楽しみにしています」と
エールをもらうこともあり、元気をもらえる。ありがとうございます。
田舎散人から受け継いだ大切なブログ。微力ではあるが、散人の思い、
人や社会を優しくみつめるフレームも一緒に受け継いでいけたら……。
読んでもらえることに感謝しながら、散人見習として書き続けていきたい。

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# by inakasanjin | 2025-04-01 10:00 | Comments(0)

卒業式と魔法の言葉

三月は卒業式シーズン。
私が講師を勤める高校でも卒業式が行われ、
230名の若人達が学舎を巣立っていった。
式辞の中でS校長は人生訓として、五木寛之氏の『大河の一滴』
の一節を披露した後に「人生は順風満帆の時ばかりではない。
諦めずに前向きに最善を尽くし、さらなる飛躍をとげてほしい」
と母校の後輩達へ最後のメッセージを贈った。

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式終了後、恩師と保護者の拍手の中、退場していく卒業生。
目に涙を浮かべながら、照れくさそうに胸を張る者もいた。
疾風怒濤の青春時代を共に過ごした級友や学舎との別れ。
学校生活で芽生えた友情。部活や学校行事で流した汗と涙。
目標に向けての挑戦と挫折。思い通りにならない苛立ちや怒り。
泣いたり、笑ったり。いろんなことがあった三年間。
貴重な日々を思い浮かべながらの卒業式だったに違いない。

この日、生徒達を見送った三学年の先生方の目にも涙。
後輩教師に慕われ、生徒を見守り続けたK学年主任。
様々な思いを抱いての卒業式。真心溢れる学年運営だった。
また、日々、生徒と必死に向き合った若き担任達。
還暦を過ぎたベテラン教師も見事に担任の職責を果たした。
生徒を預かり、重い責任を背負いながら卒業式を目指す。
途中、思い通りにならないことも多く、ヒヤヒヤの連続。
みんな、気力・体力を振り絞っての毎日だったに違いない。
そんな教師にとって、最後のHRは喜びと感動のひととき。
巣立っていく生徒が発してくれる「先生、ありがとう」は、
これまでの全ての苦労が報われる魔法の言葉となり、
その感動を胸に刻み、再び新しい一歩を踏み出していく。

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私自身も教師として多くの生徒の巣立ちを見送ってきた。
若気の至りで大声を張り上げ、生徒と向き合った若き教師時代。
未熟な教師だったが、周囲の先生方に助けられ、生徒からも学んだ。
教師は生徒を教えることが仕事だが、生徒から教わることも多い。
「子供に大切なことは……」「学校のあるべき姿は……」等と
評論家や世間は勝手なことを言うが、理想論なら誰でも言える。
しかし現場は、理想論ではどうにもならず、特効薬は存在しない。 
解決策は信頼関係を築き、一人一人と向き合い地道に対応すること。
約束が破られ、期待を裏切られても、生徒に寄り添うことが求められる。
しかし、そんな神様のような所業を人間である教師にできるはずがない。
だが、そうあろうと努力し、日々悩みながら生徒と共に成長していく。
だからこそ、巣立つ生徒が最後に発する「先生ありがとう」は魔法の言葉。
私が長年、教師を続けられたのは、この言葉のお陰かもしれない。

卒業や退職、異動等、身近な人と離ればなれになるこの季節。
「ありがとう」「お世話になりました」「お元気で」の言葉が交わされ、
いろんな場所で、いろんな思いで、いろんな別れがあるのだろう。
そして、送る方も、送られる方も、4月からは新たな日常が動き始める。
人は皆、自分で生きなければならないが、いろんなご縁で生かされている。
自分一人の力だけでは生きていけない。だが、頼りすぎても生きていけない。
順調や成功が続けば時に傲慢となる。人は失敗から多くを学ぶことができる。
大河の一滴としての自覚と誇り、志を持って、他の一滴と共に大海へ。
濁る日もあろうが、臆することなく堂々と、されど謙虚に細やかに流れたい。

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# by inakasanjin | 2025-03-15 10:00 | Comments(0)