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へいちく物語④  源じいの森と油須原駅

田川線(行橋~田川伊田間、26.3キロ)が、石炭の搬出を主たる目的と
する豊州鉄道として開通したのは、明治28年(1895年)。以来、
京築地方と筑豊地方を結ぶ大切な交通手段として、国鉄、JR、へいち
く(平成筑豊鉄道)と代々、鉄道運営のバトンが受け継がれてきた。

レールバスは行橋から英彦山を源とする今川沿いを遡り、豊津、犀川
を経て、筑豊の田川を目指す。みやこ町犀川にある崎山駅を出ると、
間もなくに石坂峠にさしかかる。峠は京築地方と筑豊地方との境で、
峠を越えると田川郡赤村となる。
峠の頂には赤い鳥居が連なる岩岳稲荷があり、峠の下は断崖の石坂渓谷。
かつて、渓谷を走るSLの姿を写そうと多くのカメラマンが集った。

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レールバスは渓谷にある鉄橋を渡り、国登録文化財の石坂トンネルに
入っていく。トンネルは第一石坂トンネルと第二石坂トンネルの二つ
からなり、九州最古の鉄道トンネル、といわれている。
乗客の多くが手前の駅で降り、空席が目立つようになった車内。
コトコトコト、コトコトコト、と車輌が発する音。
その音が呟きのように聞こえ、トンネル内で響き渡る。
車内前方に座り続ける初老の男は、感慨深げに音を聞き続けていた。

   *     *     *

・・・コトコトコト。コトコトコト。
ボクは、へいちく。郡境を越え、京都郡から田川郡赤村に入ったよ。
トンネルを抜けると、直ぐに、源じいの森駅(平成7年新設)に到着。
“源じいの森”はキャンプ場、宿泊施設、温泉施設を併設した複合施設。
駅から2分ほど歩くと竹林に囲まれた源じいの森温泉があり、いつも、
入浴客で賑わっているよ。温泉はアルカリ性単純泉で、露天風呂も備え
ていて、疲労回復や美肌効果などがある、といわれているんだ。
また、施設周辺は自然が溢れていて、初夏には源氏ボタルが乱舞。
清流・今川を満喫できる場所なので、ゆっくりと楽しんでほしいな。

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源じいの森駅を出発すると、次は油須原(ゆすばる)駅に到着。
駅は明治28年の豊州鉄道開業当時から存在。最近、大規模に
改修されたレトロな駅舎は、映画のロケにも使用されているんだ。
そうそう、赤村は、モモちゃんのお母さんの実家がある村だったね。
幼い頃、ヨチヨチ歩きのモモちゃんは、お母さんに手を引かれながら、
この油須原駅で列車から降りて、おばあちゃんの家に行っていたんだ。
その頃は、旧国鉄時代で駅周辺が栄えていて、とても賑やかだったね。
シュッシュポッポ、シュッシュポッポ、とSLが多く走っていて、
列車の窓から、うっかり顔を出すと、蒸気機関車が、はき出す煙
のススが顔につき、真っ黒になったこともあったね。
それに、列車が大好きだったモモちゃんは、列車が通る度に、
線路の近くにあった、おばあちゃんさんの家の庭に飛び出し、
“汽車ポッポ、汽車ポッポ”、と言いながら、手を振ってくれたね。

   *     *     *

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・・・コトコトコト。コトコトコト。
ノスタルジー漂う油須原駅。その駅を出発したレールバスは、
今川の流れと別れをつげ、田川の中心部へと向かっていく。
途中、新駅である、赤(平成15年新設)、内田(平成2年新設)、
柿下温泉駅(平成5年新設)を過ぎると、筑豊のシンボルでもある
香春岳が見え、田川郡香春町にある勾金(まがりかね)駅に到着する。
旧国鉄時代からあるこの駅は、付近にある県立田川高校の最寄り駅。
また、近くには、香春岳の石灰岩を原料とするセメント工場があり、
かつては、貨物の駅としても重要な役割を果たしてきた。
勾金駅のホームを離れたレールバスは、上伊田(平成13年新設)
を経て、田川伊田駅に向かって走る。      (次回につづく)


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※平成ちくほう鉄道(本社・福岡県金田町)は第三セクターとして設立され、赤字廃止対象路線であったJR田川線(26.3km)、伊田線(16.1km)、糸田線(6.8km)の経営を平成元年10月に受け継いだ。新聞報道によると利用者はピーク時の4割まで減少し、28期連続で赤字を計上している。現在、存続をめぐり、県が設置した法定協議会で鉄道維持やバス転換などの案が示され、今年3月末までに方針が決まる予定。



            

by inakasanjin | 2026-03-01 10:00 | Comments(0)