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万博と未来社会

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“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマとしたEXPO。
大阪・関西万博が、184日間の日程を無事に終えて閉幕した。
開幕前、資材など建設コストの高騰や労働者不足などの影響で、
各パビリオンの完成が大幅に遅れて、関係者はヤキモキ。
前売券の販売不振で大幅な赤字が見込まれたこともあり、
マスコミからの批判の的にもなり、開催の意義が問われていた。
当初は低調だったが、尻上がりに挽回して、予想に反して大盛況。
来場者が250万人を超えて、黒字決算になる見込みだという。

私も6月下旬に会場を訪れ、万博を大いに楽しんだ。
・・・と記したいところだが、うーん、ちょっと微妙。
人気パビリオンの予約が取れずに、暑さと人混みの中、
入場できるパビリオンを探し求めて、列に並んだ。
そんな一日だったが、評判の大屋根リングに登り、ゆっくりと散策。
広い会場を見渡しながら感じた大阪湾からの風が、爽やかだった。
ということで、大いにではないが、まぁまぁ楽しんだ、と記すべきだろう。

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ところで今回、私を万博会場へと導いたのは、幼い頃からの思い。
1970年に“人類の進歩と調和”をテーマに開催された大阪万博。
太陽の塔をシンボルに世界各国からのパビリオンが勢揃い、
アメリカ館の月の石が評判となり、長蛇の列ができていた。
当時、私は小学生で会場には行けず、テレビの中の万博に憧れた。
その頃は、まだ高度経済成長期で、世界からは“ウサギ小屋に住む働き蜂”
と揶揄されてはいたが、フリーターやニート、派遣切り等の言葉はなく、
大人達は助け合い、将来に夢と希望を持って一生懸命に働いていた気がする。

あれから半世紀余。私も歳をとり、社会は大きく様変わりした。
物質的な豊かさが積み重ねられて利便性は得たが、その反動もあり、
環境問題、ネットを悪用した犯罪や人権侵害などの課題が噴出している。
幼い頃の想い出は美化されるので、当時と現在を比較することは無理。
ということは百も承知だが、今よりも温もりがある社会だった気がする。
果たして、テーマだった“人類の進歩と調和”は達成できているのか・・・。
人類は豊かさと引き替えに、協力や連帯、優しさや思いやり、敬う心等、
人としての在り方、人類が共存する精神を失いつつあるのではないだろうか。

社会の分断が危惧される中、多くの資金と労力が投入された今回の万博。
最後はマスコミの論調も好意的だったが、レガシーとして残せたものは?
万博のシンボルだった大屋根リングは、会場で部分的に保存され、
撤去された一部の木材は、能登の復興住宅の資材として活用されるという。
それらもレガシーだろうが、テーマが目指したデザインは描けたのか。
大屋根リングが、多くの木々が織りなす見事な調和であるならば、
未来社会は、幾年もの営みが積み重なり、その調和が織りなす新たな営み。
今から半世紀後、今を生きる子供たちが、現在の私の年齢になった頃、
日本社会、そして世界はどうなっているのだろうか・・・。
今回の万博のテーマの如く、いのちが輝く未来社会、であってほしい。

 
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by inakasanjin | 2025-11-01 10:00 | Comments(0)