2025年 11月 01日
万博と未来社会

“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマとしたEXPO。
大阪・関西万博が、184日間の日程を無事に終えて閉幕した。
開幕前、資材など建設コストの高騰や労働者不足などの影響で、
各パビリオンの完成が大幅に遅れて、関係者はヤキモキ。
前売券の販売不振で大幅な赤字が見込まれたこともあり、
マスコミからの批判の的にもなり、開催の意義が問われていた。
当初は低調だったが、尻上がりに挽回して、予想に反して大盛況。
来場者が250万人を超えて、黒字決算になる見込みだという。
私も6月下旬に会場を訪れ、万博を大いに楽しんだ。
・・・と記したいところだが、うーん、ちょっと微妙。
人気パビリオンの予約が取れずに、暑さと人混みの中、
入場できるパビリオンを探し求めて、列に並んだ。
そんな一日だったが、評判の大屋根リングに登り、ゆっくりと散策。
広い会場を見渡しながら感じた大阪湾からの風が、爽やかだった。
ということで、大いにではないが、まぁまぁ楽しんだ、と記すべきだろう。

ところで今回、私を万博会場へと導いたのは、幼い頃からの思い。
1970年に“人類の進歩と調和”をテーマに開催された大阪万博。
太陽の塔をシンボルに世界各国からのパビリオンが勢揃い、
アメリカ館の月の石が評判となり、長蛇の列ができていた。
当時、私は小学生で会場には行けず、テレビの中の万博に憧れた。
その頃は、まだ高度経済成長期で、世界からは“ウサギ小屋に住む働き蜂”
と揶揄されてはいたが、フリーターやニート、派遣切り等の言葉はなく、
大人達は助け合い、将来に夢と希望を持って一生懸命に働いていた気がする。
あれから半世紀余。私も歳をとり、社会は大きく様変わりした。
物質的な豊かさが積み重ねられて利便性は得たが、その反動もあり、
環境問題、ネットを悪用した犯罪や人権侵害などの課題が噴出している。
幼い頃の想い出は美化されるので、当時と現在を比較することは無理。
ということは百も承知だが、今よりも温もりがある社会だった気がする。
果たして、テーマだった“人類の進歩と調和”は達成できているのか・・・。
人類は豊かさと引き替えに、協力や連帯、優しさや思いやり、敬う心等、
人としての在り方、人類が共存する精神を失いつつあるのではないだろうか。
社会の分断が危惧される中、多くの資金と労力が投入された今回の万博。
最後はマスコミの論調も好意的だったが、レガシーとして残せたものは?
万博のシンボルだった大屋根リングは、会場で部分的に保存され、
撤去された一部の木材は、能登の復興住宅の資材として活用されるという。
それらもレガシーだろうが、テーマが目指したデザインは描けたのか。
大屋根リングが、多くの木々が織りなす見事な調和であるならば、
未来社会は、幾年もの営みが積み重なり、その調和が織りなす新たな営み。
今から半世紀後、今を生きる子供たちが、現在の私の年齢になった頃、
日本社会、そして世界はどうなっているのだろうか・・・。
今回の万博のテーマの如く、いのちが輝く未来社会、であってほしい。

大阪・関西万博が、184日間の日程を無事に終えて閉幕した。
開幕前、資材など建設コストの高騰や労働者不足などの影響で、
各パビリオンの完成が大幅に遅れて、関係者はヤキモキ。
前売券の販売不振で大幅な赤字が見込まれたこともあり、
マスコミからの批判の的にもなり、開催の意義が問われていた。
当初は低調だったが、尻上がりに挽回して、予想に反して大盛況。
来場者が250万人を超えて、黒字決算になる見込みだという。
私も6月下旬に会場を訪れ、万博を大いに楽しんだ。
・・・と記したいところだが、うーん、ちょっと微妙。
人気パビリオンの予約が取れずに、暑さと人混みの中、
入場できるパビリオンを探し求めて、列に並んだ。
そんな一日だったが、評判の大屋根リングに登り、ゆっくりと散策。
広い会場を見渡しながら感じた大阪湾からの風が、爽やかだった。
ということで、大いにではないが、まぁまぁ楽しんだ、と記すべきだろう。

ところで今回、私を万博会場へと導いたのは、幼い頃からの思い。
1970年に“人類の進歩と調和”をテーマに開催された大阪万博。
太陽の塔をシンボルに世界各国からのパビリオンが勢揃い、
アメリカ館の月の石が評判となり、長蛇の列ができていた。
当時、私は小学生で会場には行けず、テレビの中の万博に憧れた。
その頃は、まだ高度経済成長期で、世界からは“ウサギ小屋に住む働き蜂”
と揶揄されてはいたが、フリーターやニート、派遣切り等の言葉はなく、
大人達は助け合い、将来に夢と希望を持って一生懸命に働いていた気がする。
あれから半世紀余。私も歳をとり、社会は大きく様変わりした。
物質的な豊かさが積み重ねられて利便性は得たが、その反動もあり、
環境問題、ネットを悪用した犯罪や人権侵害などの課題が噴出している。
幼い頃の想い出は美化されるので、当時と現在を比較することは無理。
ということは百も承知だが、今よりも温もりがある社会だった気がする。
果たして、テーマだった“人類の進歩と調和”は達成できているのか・・・。
人類は豊かさと引き替えに、協力や連帯、優しさや思いやり、敬う心等、
人としての在り方、人類が共存する精神を失いつつあるのではないだろうか。
社会の分断が危惧される中、多くの資金と労力が投入された今回の万博。
最後はマスコミの論調も好意的だったが、レガシーとして残せたものは?
万博のシンボルだった大屋根リングは、会場で部分的に保存され、
撤去された一部の木材は、能登の復興住宅の資材として活用されるという。
それらもレガシーだろうが、テーマが目指したデザインは描けたのか。
大屋根リングが、多くの木々が織りなす見事な調和であるならば、
未来社会は、幾年もの営みが積み重なり、その調和が織りなす新たな営み。
今から半世紀後、今を生きる子供たちが、現在の私の年齢になった頃、
日本社会、そして世界はどうなっているのだろうか・・・。
今回の万博のテーマの如く、いのちが輝く未来社会、であってほしい。

by inakasanjin
| 2025-11-01 10:00
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