2025年 10月 15日
尊い命と交通安全憲章

おはよう。おはよう。おはよう。・・・。
長年勤務した前任の高校では毎朝、生徒昇降口に立ち、
一人一人の顔を見ながら声を発し、登校を見守り続けていた。
その昇降口横の壁には、並列走行をしません。
二人乗りをしません。一時停止を守ります。等、
9つの項目が列記された『交通安全憲章』が掲げられ、
その前文は、このように記されていた。
『私達は一つの尊い命を交通事故によって失ってしまいました。
かけがえのない仲間の命を失ってあらためて気づかされた
生命の尊さを、私達は決して忘れません。
二度とこのような悲劇を繰り返さないために私達ができることは何か、
生徒全員で意見を出し合い、この交通安全憲章をつくりました。
私達生徒一同は強い決意を持って、この憲章に書かれていることを遵守し、
自分たちの命を大切にしていくことをここに誓います。そして、この憲章に
込められた思いが後輩達に永く伝えられることを願っています』
秋の放課後、自転車で下校中の生徒が、学校近くで車にはねられた。
連絡を受けて、多くの教師が職員室を飛び出し、現場に向かった。
同僚教師の一人は、生徒の名前を叫びながら、必死の思いで
心臓マッサージと人工呼吸をくり返し、救急車の到着を待った。
悲報が届けられ、全員が悲しみにくれ、学校は静まりかえった。
葬儀には多くの級友が参列して涙を流し、
担任教師は被害者宅に通い、位牌に手を合わせた。
その後、悲劇を繰り返してはならない、と生徒会が立ち上がり、
交通安全憲章が制定され、昇降口に掲げられた。
幸福な日々が突然、崩れ去る交通死亡事故。
加害者と被害者、双方どちらかの行動が少しズレていたなら、
死亡事故は起きなかったのかもしれないが、
もし、あの時・・と、いくら悔やんでも命は返ってこない。
被害者の無念さ、遺族の苦しみ。
癒えない心の傷を背負い生きていかなければならない関係者。
そんな中、私は今日もハンドルを握っているが、
車を運転することは、加害者予備軍でもある。
100パーセントの安全は車に乗らないことだろうが、
私の周辺地域では車は必需品で、日常生活に欠かせない。
安全運転に心がけているつもりでも、
ハッとして、何度か急ブレーキを踏んだ経験を持つ私。
それは運が良かったのか・・、天からの警告だったのかもしれない。
自転車のヘルメット着用が義務化され、
現在は多くの自転車通学生が、ヘルメットを被っている。
あの時、ヘルメットの着用が義務化されていたら・・・・・・。
元同僚で当時生徒会を担当していた後輩教師は県の教育委員会で
現在、ヘルメット着用推進の責任者として頑張っている。
生徒達の思いが込められた交通安全憲章が制定されてから来年で20年。
今でも、この季節になると、あの事故のことを思い出す。

長年勤務した前任の高校では毎朝、生徒昇降口に立ち、
一人一人の顔を見ながら声を発し、登校を見守り続けていた。
その昇降口横の壁には、並列走行をしません。
二人乗りをしません。一時停止を守ります。等、
9つの項目が列記された『交通安全憲章』が掲げられ、
その前文は、このように記されていた。
『私達は一つの尊い命を交通事故によって失ってしまいました。
かけがえのない仲間の命を失ってあらためて気づかされた
生命の尊さを、私達は決して忘れません。
二度とこのような悲劇を繰り返さないために私達ができることは何か、
生徒全員で意見を出し合い、この交通安全憲章をつくりました。
私達生徒一同は強い決意を持って、この憲章に書かれていることを遵守し、
自分たちの命を大切にしていくことをここに誓います。そして、この憲章に
込められた思いが後輩達に永く伝えられることを願っています』
秋の放課後、自転車で下校中の生徒が、学校近くで車にはねられた。
連絡を受けて、多くの教師が職員室を飛び出し、現場に向かった。
同僚教師の一人は、生徒の名前を叫びながら、必死の思いで
心臓マッサージと人工呼吸をくり返し、救急車の到着を待った。
悲報が届けられ、全員が悲しみにくれ、学校は静まりかえった。
葬儀には多くの級友が参列して涙を流し、
担任教師は被害者宅に通い、位牌に手を合わせた。
その後、悲劇を繰り返してはならない、と生徒会が立ち上がり、
交通安全憲章が制定され、昇降口に掲げられた。
幸福な日々が突然、崩れ去る交通死亡事故。
加害者と被害者、双方どちらかの行動が少しズレていたなら、
死亡事故は起きなかったのかもしれないが、
もし、あの時・・と、いくら悔やんでも命は返ってこない。
被害者の無念さ、遺族の苦しみ。
癒えない心の傷を背負い生きていかなければならない関係者。
そんな中、私は今日もハンドルを握っているが、
車を運転することは、加害者予備軍でもある。
100パーセントの安全は車に乗らないことだろうが、
私の周辺地域では車は必需品で、日常生活に欠かせない。
安全運転に心がけているつもりでも、
ハッとして、何度か急ブレーキを踏んだ経験を持つ私。
それは運が良かったのか・・、天からの警告だったのかもしれない。
自転車のヘルメット着用が義務化され、
現在は多くの自転車通学生が、ヘルメットを被っている。
あの時、ヘルメットの着用が義務化されていたら・・・・・・。
元同僚で当時生徒会を担当していた後輩教師は県の教育委員会で
現在、ヘルメット着用推進の責任者として頑張っている。
生徒達の思いが込められた交通安全憲章が制定されてから来年で20年。
今でも、この季節になると、あの事故のことを思い出す。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by inakasanjin
| 2025-10-15 10:00
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