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幸福の聖地・駅と黄色いハンカチ

“命に関わる危険な暑さ”
この夏、頻繁に聞かされた言葉だが、
まさか、この地で体験するとは思わなかった。
7月下旬。今年も一週間ほど北海道を訪れたが、
驚くことに40度に迫る勢いで、地元九州よりも暑かった。
宿泊地にはエアコンはなく、何とか扇風機でしのいだが、
耐えきれずに、レンタカーの車内に涼を求める場面もあった。
避暑ではなく、暑さと闘った北の大地への旅を振り返りたい。

十勝の帯広空港に降り立ち、レンタカーを受け取りに行くと、
「こんな夏は始めてです」と言いながら、キーを手渡してくれた。
空港近くにある旧国鉄広尾線の幸福駅。
かつて近くにある愛国駅から幸福駅への切符が話題となり、
芹洋子さんが歌った“愛の国から幸福へ”もヒットした。
1987年(昭和62年)に赤字ローカル線だった広尾線は廃線。
駅は役割を終えたが、周辺は公園として整備され、
現在も幸福の聖地として、多くの観光客が訪れている。

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幸福駅から北海道の大地を巡る旅をスタートさせた。
十勝のガーデン巡りを終えた後は、襟裳(えりも)岬へ。
付近は日高昆布の産地で、岬から昆布漁で賑わう海を眺めながら北上。
この季節は刈り取られたばかりの昆布を海辺に干す光景がみられる。
しばらく進むと競走馬の育成地として有名な浦河、静内、新冠に至る。
サラブレット銀座と呼ばれる牧場が続く道沿いで、ひと休みした。

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映画『幸福の黄色いハンカチ』の撮影場所も訪れた。
“まだ一人暮らしで、俺を待っていてくれるなら、
黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ。それが目印だ”
網走刑務所を出所した勇作は、妻の光枝に葉書を出す。
高倉健が演じる勇作と倍賞千恵子が扮する光枝が、
黄色いハンカチを背景に再会するラストシーンが感動的だった。
現在は、当時の炭住(炭鉱住宅)の一部が、住民達に守られ、
黄色いハンカチ想い出広場として、幸福の聖地となっている。
撮影時の赤い車や小道具を展示する炭住の中には、黄色い付箋紙が置かれ、
訪れた人達が幸福への様々な思いを記し、それが部屋中に貼られている。

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この想い出広場があるのは、旧産炭地の夕張市。
最盛期には人口が12万人越えて、賑わった地域だが、
炭鉱閉山後は、急激に人口が減少して、現在は7千人程。
また、財政破綻による赤字再建団体入りなど、厳しい現状にあり、
夕張駅跡地周辺に建ち並ぶ廃業したホテルや商店が、それを物語る。
しかし一方で、夕張は特産のメロンを核に元気を取り戻そう頑張っている。
はためくハンカチは、そんな夕張の人達にとって、心の支えなのだろう。
広場を出て、方々の空き家を眺めながら、夕張高校の前を通りかかると、
“行動が未来を変える-夕張高校生徒会-”の横断幕が目に飛び込んできた。
黄色いハンカチだけでなく、生徒達の熱い志も、希望の灯だと感じた。
また訪れてみたい夕張。まちの振興を念じながら、メロンを味わいたい。

by inakasanjin | 2025-09-01 10:00 | Comments(0)