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“またトラ”と民主主義

「どうして、こんな国になってしまったのだろう。
恥ずかしい。そして、世界の人達に申し訳ない」
昨年の11月、新大統領の当選が確実になった翌日、
来日していたアメリカの友人が淋しそうに呟いた。
 
もしトランプ氏が、また大統領になったら……。
世界が注目する中、アメリカ国民はトランプ氏を選択。
“もしトラ”が現実となり、“またトラ”となった。
保守主義とリベラル。自国第一と国際社会との協調。
求める幸せのかたち、人としての倫理観など、
大きくすれ違う思いや理想、あるべき国の姿。
分断という言葉で表現されている国民間の深い溝。
貧富の差が拡大していく中、インフレや移民問題等、
民衆の不満を巧妙に投票行動に結びつけるポピュリズム。
友人同様の思いをしているアメリカ国民は数多くいる。

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若い頃、何度かアメリカを旅行し、ワシントンも訪れた。
当時、様々な課題はあったが民主主義国家としての誇りを有し、
自由主義社会のリーダーとして輝いていたアメリカ。
世界政治の中心、ホワイトハウスや議事堂界隈で記念写真を撮り、
ポトマック河畔にあるリンカーン記念館にも立ち寄った。
館内のリンカーン大統領像の側に刻まれている民主主義の原点
ともいえる“人民の人民による人民のための政治”という言葉。
民主主義の根幹は、多数派が自己の利益のみを追求することなく、
少数派等の多様な意見を尊重して、お互いが共存していくこと。
人民のための政治、とは何なのか。今、その根幹が問われている。

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グレート アメリカ アゲインと叫び、自国第一主義を主張。
就任式では、偉大さを誇示するショーを演じるかのように、
次々と大統領令に署名していくトランプ氏。
中には、地球温暖化防止に向けてのパリ協定からの離脱、
世界保健機構(WHO)からの脱退も含まれていた。
国際社会からの孤立を深めようとしているアメリカ。
かつて、We Are The Worldの歌がヒットした頃、その推進役であった
超大国は、地球市民のあるべき姿とは、逆の方向に歩き始めた。

アメリカのマッカーサー草案が元になった日本国憲法。
戦後日本の指針となった憲法の格調高き前文には、こう記されている。
“われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して
他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は
普遍的なものであり、この法則に従うことは自国の主権を維持し
他国と対等関係に、立とうとする各国の責務であると信じる。

ポピュリズムが蔓延し、厳しい試練に立たされている世界の民主主義。
本来のグレートアメリカとは、世界から尊敬される国として、
日本国憲法前文が示す国際世界を築くための使命を担うこと。
そして、リンカーンの言葉の真髄を実践することだと思う。
アメリカの友人が、母国への誇りを取り戻すことができる4年間。
世界の安全と平和、多くの人権が尊重される4年間であってほしい。

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by inakasanjin | 2025-02-15 10:00 | Comments(0)