人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ウッドスタートからウッドエンド


 木の国、日本は森林大国と言われてきたが、国民が、ようやく木の良さを木によって気づかされてきたようだ。2011年、東京の新宿区が長野県伊那市と提携して「木のおもちゃ」を作り、赤ちゃんに配り始めた。幼児期から「木」づかいと「木」のそばで育てる「木育」活動が大切だとの考えだ。それをウッドスタートというようだ。
 赤ちゃんが最初に出会うおもちゃが地元で育った「木」から作られたものであればいい、と山林を持つ全国の自治体は、地元の木工職人らとタイアップして地元産のスギやヒノキなどを使っておもちゃ作りをすすめる「木育実践」行動プランが広がり始めたようだ。2018年、ウッドスタート宣言は、全国40余の自治体が手を上げ、今後も増えてゆくようだ。木育は一石何鳥もの効果がありそうだ。木を見て森を見ず、と言うが、まず森を見て木を見る発想転換が必要のようだ。

 赤ちゃんが遊ぶ木のおもちゃは、木の匂い、木肌の優しさ、木のぬくもり、木の音、木目のゆらぎ、軽さや重みなど、まさに子どもの五感を刺激する。赤ちゃんの時から木のおもちゃに触れさせることで「木」がつつむ豊かな感性を感じとれる人に育つと言われる。
 私たちは、危険のない「積木」の良さを忘れ、ないがしろにしていたようだ。もう一度、木を積んで遊ぶ積木はもちろんだが、自由な発想の木造り作品を地産地消で造り、広げる行動を進めることが必要であろう。木で創れるおもちゃは無限にあるようだ。

 森の中を歩く森林浴がある。森に入ると木の匂いがあり、香りが漂う。懐かしい感覚の瞬間である。それを忘れて時を過ごしてきたような気がする。木の匂いは、記憶を呼び覚ます効能があり、木のそばで眠ると疲れもよく取れるなど不思議な効果を発揮するそうだ。まず樹木のそばに立ち、触れ、嗅ぐことから始めよう。とにかく、時折、自然の中に身を投げ込むことが大切だろう。藪を知り、藪を歩いてみるのもいい。大地の匂いがする。

 木の良さを五感で感じ、地域の木材を使って、森と暮らしを繋ぎ育む言葉の「木育」は2004年から使われ始めた。赤ちゃんが生まれて初めて触れるファーストトイが木でウッドスタート開始。スタートがあればエンドがある。葬儀の棺は木で、現在、中国産の木材使用が多い棺桶。やはり生まれた国の木に包まれての旅立ち「ウッドエンド」がいいと思う。郷土の森林組合も「ウッドスタートからウッドエンド」の取り組みを始めて欲しい。

by inakasanjin | 2023-11-17 09:00 | 田舎日記 | Comments(0)