2023年 07月 28日
八坂神社に「御目守り」を
福岡県北九州市小倉北区城内にある八坂神社に「石造燈篭一対」(県指定有形文化財)がある。この燈篭は細川忠興に由来するそうだ。関ケ原合戦の後、豊前・豊後39万9千石の大大名になった忠興公。ある日、鷹狩りに出かけた。山の山頂にあった苔むした祠の御神体を覗き見ようとしたところ1羽の鷹が飛び出て忠興公の眼を蹴った。それが原因で失明しかかった忠興公は神罰であろうと深く反省した。元和4年(1618)、直臣が、忠興公の眼病平癒を願って神社本殿脇に一対の石燈篭を奉納したとされる。すると、不思議に忠興公の眼は快癒したという。後、八坂神社は眼の神様とも呼ばれるようになった。
その眼病平癒に由来する「石燈篭」にお参りする人もいるそうで「眼」を大事にするのは誰もが願うことだ。そこで八坂神社に「眼のお守り」はありますか、と訊ねたところ無いという。今、神社にあるお守りは、小倉祇園太鼓に由る「太鼓肌守」が主だそうだ。
そこで一般社団法人豊前国小笠原協会(みやこ町)は、細川家が小倉藩統治時代、豊前国仲津郡大村(現みやこ町犀川大村)で日本初のワイン醸造を行なったとされる日本古来の在来種で、野性味あふれるガラミ(学名エビヅル、通称ヤマブドウ)は、アントシアニンなど目に効能ある要素が豊富という。これにあやかって新しい「眼のお守り」を創ってはどうだろう、呼び名も、素直に「御目守(まも)り」としては、の提案をした。
「まもる」を辞書で引くと「目(ま)守(も)る」とある。そう「目」は目蓋(まぶた)の「ま」。目を離さず、見守りに由来なのであろうか。お守りは、厄除けや招福の願いをカタチにした縁起物。神社や仏閣で願いに合ったお守りをいただくことになる。それで「目守」を「まも」と読む句や歌を捜してみると、まさに「目(ま)守(も)り」と詠んでいた。
秋天に死を目守りゐる師の眼あり 飯田龍太
枯萱に去りゆく犬を目守りつゝ 石橋辰之助
はるばると薬をもちて来しわれを目守りたまへりわれは子なれば 斎藤茂吉
さくらばな陽に泡立つを目守りゐるこの冥き遊星に人と生まれて 山中智恵子
小倉の八坂神社は「目の神さま」として「眼病平癒の石燈篭」を祀る。「目神」は優しい「女神」かも知れない。手を合わせた後「がらミ御目守り」は心の安らぎになるだろう。
by inakasanjin
| 2023-07-28 09:00
| ふるさと京築
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