人気ブログランキング | 話題のタグを見る

笑顔を忘れずone to One

 TV番組「中居正広のキンスマ」に岡山ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さん(88)が出演していた。大ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』に救われた人々の事例紹介などに併せて彼女の歩んだ道がドラマ仕立てになっていた。
 彼女は、昭和2年(1927)北海道旭川で生まれた。父の陸軍中将・渡辺錠太郎が53歳の時で四人兄妹の末っ子だった。父には「とても可愛がられた」彼女が9歳の時、昭和11年の「2・26事件」に遭遇。父の居間に隠れていて青年将校らの襲撃で警視総監だった父が銃殺される姿を目の前で見た。この世に生まれてきたのは「父が最後の姿を見なさい、ということだったのでしょうね」と渡辺さん。18歳で洗礼を受け、29歳で修道女会に入会。ボストンカレッジ大学院で博士号を取得。
 36歳でノートルダム清心女子大学学長に就任。その後、うつ病に罹り克服。57歳の時、ノーベル平和賞を受けたマザー・テレサ来日では通訳を務めた。
 幼い頃の父の死、うつ病になるなどの日々の苦難を乗り越え「ノートルダム清心と聖心の違い」を、聖心はイエスキリスト、清心はマリアさまを崇拝すること、と生徒らに伝えていた。彼女の文で
 「……1つの呪文one to Oneを唱えることがあります。最初のoneは小文字で「私」次のOneは大文字で「神」を表すのです。
 私の相手は神さま。悔しいことを言われたり、されたりしても「神と私」の関係を忘れずにいれば、ほかの小さなことは、自ずから片付いてゆく……『許し』にもつながります……笑顔を忘れず、すべてをご存知のOneを信頼し、小さなoneとしての自分と仲良く暮して……」
が目に留まった。いろんな言葉を紡ぎだせる方だ。

  この世に「雑用」という用はありません。
  私たちが用を雑にした時に、雑用が生まれます。
  「ていねいに生きる」とは、自分に与えられた試練さえも両手でいただくこと。

 渡辺さんの穏やかな表情は心を和ませる。中居さんらの質問の中で「お世話をする看護の看という字は手と目と書くでしょう」と、笑顔で、さりげなく答えて「看護」の本質をピタリ指摘する。彼女の、年輪というよりも健康な心の若さを思った。

by inakasanjin | 2023-05-26 09:00 | 田舎日記 | Comments(0)