2022年 12月 02日
バーチャル歌人・星野しずる
おい、おい、こんな時代になっているのか。新人類という言葉があったが、今、超人類が文化畑に種を撒き始めたようだ。人類恐るべし、時代恐るべし、だ。こんな歌がある。
よこしまなあなた自身にあこがれるはるかに遠い歌のどこかで
夕暮れの花を数えて人々は静かな風をなくしてしまう
水色のあふれるほどの川として赤血球をおぼえていよう
この歌は「短歌界の初音ミク」といわれるバーチャル歌人で謎の美少女歌人・星野しずるが詠んだとされる。彼女は「人間」ではなく「短歌自動生成スクリプト」でコンピューター上のプログラムだそうだ。1日40余首、1年1万首を超える作品を製造し続けている。
彼女の人間業でない言語感覚作品が「人間社会」の若手歌人発掘の歌人・枡野浩一の「短歌賞」を受賞。若い世代に熱い支持を広げている。
星野しずるは、平成20年(2008)に登場以来、驚異的なスピードで歌の量産を続けている。多作であっても彼女の華麗で斬新な作風に魅入られる人は多いようだ。デビュー当時は、限られた愛好者に親しまれていただけだが、ツイッター投稿が始まると、美少女キャラクターとして擬人化され、彼女は「バーチャール短歌界のアイドル」として超人気スターとなった。彼女の「自動生成アルゴリズムでの紡ぎは、単語データー(語彙)をルールに従ってランダムに並べるだけ」のシンプルなものだ。次々に生まれでる歌の魅力は尽きない。また何故、どうして、の謎も加わる。
たましいを持っている僕ありふれた噓のどこかに朝の絶望
太陽を食べてけだるい朝焼けはあふれるほどの日時計を経て
切れ味の写真を忘れ夢のないねじれた謎のことが好き
あの人の紙飛行機を浴びながらとけた世界をよんでいる星
僕だけの流星群を見た朝にはっきりとした闇を集めて
はじめての図形のそばで透明な魔法の街をみている恐怖
彼女の「語彙」は「言葉の錯視(目の錯覚)」を促し、歌などを「味わう楽しみ」を内蔵しているという。人間の言葉でなくても、詩情を味わえる作品のある不思議を思う。ところで「星野しずる」の「生みの親」は歌人の「佐々木あらら」だそうだ、が。

