2022年 01月 21日
日本最古と世界最古の〝歌〟
ものごとの最初だとか、最古だとか、というと尊厳、魅惑の想いが生まれる。太古の日本では,ものごとは人の記憶で口承するしかなかったが、文字が伝わり、人に伝える術を知った。8世紀初頭に成立した『古事記』は日本最古の文献である。神話、伝説、歌謡などで国の成り立ちなどを伝える書物。太古の神々が唱えた〝歌〟が数多く収められている。
須佐之男命(スサノオノミコト)がヤマタノオロチを退治して櫛名田比売(クシナダヒメ)と結ばれ、出雲の地に新宮を造った折に詠まれた〝歌“が日本最古の和歌と言われる。
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
(夜久毛多津 伊豆毛夜幣賀岐 都麻碁微爾 夜幣賀岐都久流 曽能夜幣賀岐袁)
平安時代の歌人・紀貫之(868~946)は、この歌を「人の世となりてスサノオノミコトよりぞ三十文字あまり一文字は詠みける」と和歌の起源と断定。そして出雲の地が発祥と伝わる。因みに「和歌の俳句化」なのか、形式変化で俳句が詠まれた。近江国(滋賀県草津市)出身の戦国時代の連歌師・山崎宗鑑(1465~1554)の句が始まりという。
貸し夜着の袖をや霜に橋姫御
京都宇治川に架かる橋のたもとに橋をまもる女神がいた伝説を詠んだようだ。
次に世界最古の〝歌〟はデンマーク国立博物館所蔵の「セイキロスの墓碑銘」だそうで、墓石に完全な形で残る楽曲だと言う。墓石はトルコの都市アイドゥン近郊で発掘され、紀元前2から紀元後1世紀頃のものとされる。石には「わたしは墓石です。セイキロスがここに建てました。決して死ぬことのない、とこしえの思い出の印にと」記されている。
2千年を超えて「歌詞と音符が刻まれた墓碑」が伝わる凄さを思う。詞を見る。
生きている間は輝いていてください 思い悩んだりは決してしないでください
人生はほんの束の間ですから そして時間は奪っていくものですから
これは「セイキロスが妻のエウテルぺに捧げた楽曲」だと考えられている。また世界最古の詩は、紀元前3千紀のシュメール(現イラク)の『ギルガメシュ叙事詩』で古代メソポタミアの伝説的な王をめぐる物語と言われる。遺された言葉は、悠久の時の海を漂い、人の証を伝える。先祖から伝わり、子孫に伝えることは、永遠を自覚しての伝承になる。
勝手ながら、私のブログで光畑様のご紹介もさせていただきました。國崎八幡神社に関する考察も述べさせていただいております。
どうぞよろしくお願いします。