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ありのまま、で生きる

 ある地域で、ある人とまちづくりの遣り取りで「いい、加減の真面目」が大切だと答えると「いい加減はいけません」と返って来た。「いい加減」ではなく「いい、加減」なのです「加減を知ること」なのです、と説明、すると納得した。
 まちづくりの話し合いでは、こうしたい、ああしたい、甲論乙駁、喧々轟々の意見が飛び交う。それはそれでいい、しかし真面目に全ての意見を通すことは決してできない。そこでお互いが理解し、折り合い、いい案になるように集約し、適度なところで結論を出す。それがまとめ役の努めであろう。結論を出せない話し合いは話にならない。こうありたい、まちづくりの原点は、やはり人の折り合う心からがスタート。

 ある地域の特産品作りに参加した折、ものづくりのヒントを提示、それは地域の歴史に根差し、見渡せば無料の材料がいくらでもある。地域のお年寄りに自由に作ってもらった。難しい作業ではない、それぞれの創意工夫で立派な〝商品〟ができた。その地域で生れてこそ意味があった。それは何処ででも人が使え、独特な味わいある書が揮毫できる樹木に絡まる蔓で作った「かずら筆」だ。平成元年のことだった。

 かずら筆づくりの主人公は地域のお年寄り。だから関わった我々は徹底して黒子で仕掛人に徹した。商品は〝モノ〟が善かったのと田舎のお年よりの真面目さが良かったのだろう、各メディアが大きく、何度も取り上げてくれた。こうした仕掛けは、軌道に乗れば、あとは「郷土のモノ」として広がっていけばいい、だから姿を消した。

 仕掛人は、すぐそばに居て、一番深い立ち位置だけれど、もっとも遠いところに居る見守り役でもあると思う。仕掛にもいろんなスタイルがあるだろうが、黒子で、人や地域を引っ張って行くより、人や地域を押し出して行く方が、楽しめる。とにかく黒子の楽しみは、相手には見えないからいろんな仕掛けができる。それがいい。

 いつも心がけている言葉がある。
 ・・・なにも足さない なにも引かない・・・だ。

 これはサントリー山崎の宣伝で1990年に発表された。コピーライター・西村佳也(よしなり・1942~)の作品。この言葉の後には「ありのまま。そのまま。この単純の複雑なこと」とある。人生も、そう、素のまま、ありのまま、で生きることができればいい。世の中なるようにしかならない、で、なるようになって過ぎてゆく。

by inakasanjin | 2020-12-25 09:00 | ふるさと京築 | Comments(0)